山と森と川 自然一杯の保育園 ながさわ保育園

見て・真似て・学ぶ

~子どもが主体的に環境に関わり育つ異年齢集団のエピソード~

朝のお集まりに、保育士3人が「赤ずきんちゃん」のある場面だけを役割分担して、真剣に演じてみました。子ども達もとても集中してじっと保育士の演ずる劇をみていました。それから毎日、ある場面だけを楽しく、そして真剣に演じました。

ある日、子ども達に「赤ずきんちゃん、やりたい人?」「おおかみ、やりたい人?」と聞くと「ハーイ!」と5歳児たちの元気な声で手が挙がりました。その日から、子ども達で「お母さん役」「赤ずきんちゃん役」「おおかみ役」と“やりたい”という役になって進めました。それを見ていた4歳児、3歳児の子も「わたしもする・・・」「僕もする・・・」と手を挙げ、嬉しそうにみんなの前に出てくるようになりました。また、お母さん役が3人いたり、おおかみ役が3人いたり、その中でも大きい子が小さい子をリードしてぎゅっと手をつないで登場してセリフを言ったり、中には3歳児の子がはっきりセリフを言って演じたりという姿もありました。しばらく朝のお集まりは、「赤ずきんちゃん」の寸劇でもちきりでした。保育士は、絵本コーナーに絵本を置いたり、カセットテープに「赤ずきんちゃん」の曲を録音して、いつでもかけられるようにコーナーの中に置きました。朝、登園してくるとすぐに「赤ずきんちゃん」コーナーでカセットをかけて、聞いていたり、2~3人で配役を決め、演じたりと盛り上がりました。子ども達は、「赤ずきんちゃん」のストーリーを自分のものにしたのでしょう。やってみたくて仕方がない・・・という感じでした。

ある日、保育士の一人が「先生今日はな、お客さんになるわ・・・」と言うと、「他のクラスもお客さんとして呼ぼうよ」と5歳児。それからチケット作りがはじまりました。また、園庭に出て遊んでいる時も、ベンチをベットに見立てたり、滑り台の下を赤ずきんちゃんの家に見立てたりと野外劇も展開していきました。いろんな楽しみ方があり、劇は大いに盛り上がりました。

この事例は、保育士がまず提案をして、役割を真剣に演ずることによって、子ども達が「やってみたい・・・」と自主的に演じるようになったということです。子どもの発想が大切にされ、活動が展開するためには、保育室に「食う・寝る・遊ぶ」の3つの空間が用意されていて、遊びの場には、製作やごっこ遊び、絵本などのコーナーがなければなりません。

このように、“異年齢児集団・活動選択・コーナー保育”の3つがセットで用意されていることが「遊びを中心にして環境を通して行う保育」「一人ひとりを大切にする保育」を目指す基本です。